駅・町情報 |
宇土半島の中西部、島原湾と八代海の中央に位置する。国道からは遠く離れ、県道すら通っておらず、町道沿いにポツリと簡易的なホームが存在する。周囲は完全に山の中であり、民家は5〜6件ほど。1.5km東に宇土半島の水瓶“石打ダム”が存在している。
駅名から、石打ダムの最寄り駅と連想できるが、ダムへの行くための駅であり、黒部ダムでもない限り、利用者は皆無に等しいだろう。周辺に民家が数件あるが、利用者はほんの僅かにすぎない。設立されたのは、何ともJR化後の平成に入った近代。乗客の見込めない過疎地に何故造られたのかと言うと、“この駅は「三角港築港百周年記念事業」の一環として、町民及び町が一千七百万円の浄財によって建てられたもの”と、駅前の石碑に記されている。
駅が開業したのは1989年3月、この時のダムは完成に至っておらず、3年後の1992年より使用されている。着工したのは1984年とのこと。駅前を静かに流れる“波多川”を上流に辿ると、石打ダムに到達する。度重なる水害防止と、利水目的に建設されており、決して規模の大きいダムとは言い難い。
ダム周辺は、公園や釣り場として整備されているが、休日でも人影はほとんどない。
JR化後に造られた駅と言うことから、北部九州の駅でも見られる骨組みだけの簡素的なホーム。また、外見は駅舎っぽく見えるが、張りぼてに引けを取らない壁一枚構造。外側にはみ出すように、ベンチと窓がそれぞれ2箇所ずつ設置されている。また、自転車置き場も屋根付きで確保されているが、住民が少ない上、激しいアップダウンの山中に位置する、この駅まで自転車を利用する人はいるのだろうか。
ちなみに隣の赤瀬駅までは2キロ弱と以外に近いが、路線敷設上での話。列車はトンネルで結ばれているが、人間が移動する場合は、片側一車線にも満たないコンクリート舗装の超急勾配道路を、クネらせながら往来しなければならないため、時間を要す。むろん、この駅が開業するまでは激しい道を通り、島原湾側に位置する赤瀬駅まで行っていたとのこと。
近代的に造られていると言えども、ここまで不便な立地上、秘境駅として温かく見守ってあげたい。
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