▼車両の紹介 |
先にも紹介したとおり、七隈線車両(3000系)は鉄輪式リニアモーターシステムを九州で初導入しました。カーブや勾配の多い七隈線では、標準軌との組み合わせで安定した走行と速度が保てる重要な役割を果たします。 リニアモーターの導入により、モーター及び車輪を小型化し車高を落とせます(車で言うローダウン仕様)。車高を落とすことにより、トンネルを小型化でき、工期の短縮化・工費の節約などに充てられました。
では、小さくなったと思われる車内はと言うと… 車両を小型化しても車内の居住空間は十分にあり、座席も広々しっかり確保。 また、リニア式にATOの自動運転も加わり加減速もスムーズ。とりわけ、手摺やつり革に掴まらなくても大きなダメージは受けない。
車両はお馴染み、下松で造られた日立製。七隈線が収納される橋本車両基地までは、船輸送で博多港へ。深夜、陸路をトレーラーで西区橋本まで運んだ。
全部で17編成×4両と数は多かれ少なかれ。4両編成というのは多少短いような気もするが、下図をご覧の通り「3300」と「3400」の中間車が抜けている。 おそらく将来的には6両化するのであろう。
定員は一編成-378名。全長は-66.5mとなった。
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「祝」HMをつけて車両基地を行く3000系 | リニアの採用により厳しいカーブもクリア | 掘削面積の削減。架線は車体ギリギリ |
● 七隈線3000系車両 全編成概要 ● | |||||||||
←橋本方 | 天神南方→ | ||||||||
編成番号 | < | > | |||||||
3100 Mc1 |
3200 M 1 |
3500 M 3 |
3600 Mc3 |
備考 | |||||
01 | 3101 | 3201 | 3501 | 3601 | 開業時HM | ||||
02 | 3102 | 3202 | 3502 | 3602 | |||||
03 | 3103 | 3203 | 3503 | 3603 | |||||
04 | 3104 | 3204 | 3504 | 3604 | |||||
05 | 3105 | 3205 | 3505 | 3605 | 開業時HM 広告車両 | ||||
06 | 3106 | 3206 | 3506 | 3606 | 開業時HM | ||||
07 | 3107 | 3207 | 3507 | 3607 | |||||
08 | 3108 | 3208 | 3508 | 3608 | |||||
09 | 3109 | 3209 | 3509 | 3609 | 開業時HM | ||||
10 | 3110 | 3210 | 3510 | 3610 | |||||
11 | 3111 | 3211 | 3511 | 3611 | 開業時HM | ||||
12 | 3112 | 3212 | 3512 | 3612 | |||||
13 | 3113 | 3213 | 3513 | 3613 | |||||
14 | 3114 | 3214 | 3514 | 3614 | |||||
15 | 3115 | 3215 | 3515 | 3615 | |||||
16 | 3116 | 3216 | 3516 | 3616 | 開業時HM | ||||
17 | 3117 | 3217 | 3517 | 3617 | |||||
◆外装 |
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・全面 最も注目される全面。全体的に丸みを帯びているお陰もあり、かっこいいと言うよりかわいい。丸い車体に合わせて全面には大きな曲面ガラスを使用、外からも中からも見易い構造となった。 ボディーカラーは明るいとも暗いとも言えず、緑は「西南部地域の山々をイメージ」、水色は「室見川など流れる川の色をイメージ」としたバランスのよい調和となった。 |
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・側面 中間車全長-16.5m。地下鉄車両は20m級は少ないが、やはり標準的な車両と比べ3〜4m短い。 丸い車体に対し、窓やドアーは角張った創り。 構造や色遣いなどはドイツの工業デザイナーの設計により日本離れしたデザインが伺える。国内を探しても同じような車両は見当たらない。 |
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・全体 将来的には2両増結し6両にするようであるが… 4両1編成とコンパクトな編成。 新交通システムでもないのに、都市を走る最新鋭の鉄道としては短いのでは? |
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・空調 屋根に対して平らで構成。凹凸はほとんど見られない。 各車両2機づつ、設定は運転席画面にて行う。 |
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・パンタグラフ 現在主流のアーム型。前後の先頭車、計2機設置されている。 地下鉄線内では架線に対して、ほとんど折り畳んだ状態でしか見れない。これも工費の節約か…。 地上の車両基地では開いた状態がよく伺える。 |
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・プレート 一般的に見られる楕円形の形。 どちらもシールではなく鉄板仕様。 日立は漢字ではなく、ローマ字で表記されている。 ちなみに通常時、この位置ではホームドアの関係から見ることは出来ない。 |
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・車号盤 シールではなく天板で一枚一枚制作されている。文字はゴシック仕様のようだ。 位置は中央ではなく、天神南寄りの端にある。 これも通常見ることは出来ない、ホームドアから覗き込めばなんとか… |
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・方向幕 幕はもちろんLED式(ダイオードに対して“幕”と言う表現はどうかと思いますが…)。 枠いっぱいに表示される。 行き先は「橋本」と「天神南」しかないので(車庫入線時は「回送」も出る)、とりわけ必要性を感じない。 東武東上線のように「橋本-天神南」のような書き方でも十分かと。 |
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・ロゴ 福岡市交通局のシンボルマーク。“f”fukuokaと、“s”subwayの組み合わせ。1号線開業時の初代1000系車両より既に取り付けられていた。 3000系車両には前後先頭車両に左右、計4ヶ所設置された。の |
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・車外スピーカー 各車両側面に2ヶ所、計8個設置されました。 通常、使用されることはありません。 混雑時の乗降促進や、満員時の“中へお詰め下さい”と言った注意を促す程度。 操作は、運転手左足下に設置されている受話器で行う。形は無線機と似ています。 |
◆内装 |
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・全体 丸みをおびた外観とは異なり、中は広々! …と、キャッチコピーのようなものがあるが実際はどうだろう。全体は台形のような形をしている。なんとなく圧迫感が感じられた。 写真ではお解り難いが天井が思ったより低い。身長が2m近くあるならば、乗降の際に頭をぶつけるだろう。国際交流に力を入れる福岡としてはニアミスなのではなかろうか。 ちなみに満員時は真ん中の通路を歩ける余裕などない。 |
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・座席 モケットは路線カラーをイメージして淡い緑色にまとめられた。 座席は7人掛の分離式。どこに座わるか迷うことはなさそう。満員時に隙間に座ろうとしてきた人に対して、腰を上げてスペースを作る光景は見られない。 また、上の写真からもお解りいただけるように網棚を設置していない。天井が低いため、スペースがとれず、座席下に収納することになる。 |
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・ドアー 内壁の色と同色の白。ゴムはごく普通の黒色。どことなくJR九州の817系を連想させられる。 他の列車との大きな相違点はドア窓が真四角なデザイン。 位置はほとんど上下左右対称となっている。 上方にはつり革は設置さず、ストレートな手摺を吊した。やはり天井が低いからだと考えられる。 |
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・ドアー上部 文字絵盤とLED盤が交互に設置される。双方共、左側に小型スピーカーがあり、ドア開閉時にはチャイムが鳴る。しかし、音量設定が小さいのか非常に聞こえにくい。 |
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・つり革、天井部 つり革、ベルト共に白で統一。 丸みはなく極端な三角形でもない。 開業前の撮影のため、広告等のチラシはない。 ちなみに、一番上の写真からでも確認できるが、吊り広告は一切無い。何度も書くが天井が低いためである。大江戸線のように無理に設置した異様な形よりマシかな。 |
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・車いすスペース 2両ある中間車の中寄りにそれぞれ設置された。向かいには座席があるため、とりわけ“広い”とは感じられないが十分に対処できる。 また、危険防止のためかシートベルトまでもある。おそらく日本初ではなかろうか。 |
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・連結部 上の写真の観点を左へずらした所。車いすスペース向の座席は3人掛。 連結部のドアは全面ガラス張り、取っ手は山側に設置されており海側へ向けて開ける。ロックはかかっていない。 上方にはモニターが各車両2機づつ設置された。内容は、駅名案内・所要時間・ニュースや天気予報、宣伝といったもの。 モニターを使っての情報配信システムは七隈線が九州発となる。 |
◆運転台まわり |
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・運転室 開放的な運転ルーム。昔の列車のような複雑そうな機器は見当たらない。 橋本の降車ホームを除き、乗降は全て右側となるため運転台は右側に設置したものと思われる。左側は非常用出口。 |
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・運転台 ATO完備の自動運転、運転手のみ配置される。運転手はほとんど着席不動の状態。右手にあるハンドル部分で警笛を鳴らし、ハンドル上の黄色ボタンでドア閉めを行う程度。 人にもよるが、点呼は確実に行う。 ほとんどの設定はモニター上で行われるのだが、通常の運転では使用光景は見られない。 列車無線は左の受話器のようなもの。開業前日はトラブル続出で使用頻度が高かった。 |
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・運転台上方 運転席上部にもモニターが設置されている。画面右は路線図、シール式なのでイタズラされそう。 また、裏手にはLED幕があるため、横から見ると結構飛び出ている。 |
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・運転室内部 車掌は乗務しないため、最後部は開放される。間仕切りを除去し、運転台には写真のようなカバーがかけられ自由に出入りできる。 座席をご覧頂きたいが、ほとんど直角90°で非常に簡素なもの。2人掛のロングシート、クッション性はまるでない。数分の乗車でも腰を痛める。 乗務員は運転時に座布団を持参している。 |
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・連結部 これが世にも珍しい地下鉄の展望風景。新交通システムなどでは見られたが、軌道のついた地下鉄ではおそらく初ではなかろうか。 トンネル内部は以外に明るく、進む行く手の全貌を知ることが出来る。 前部では立見になるが、点呼やATCの音を聞きながら迫力のある走行を、後部ならゆっくり座って流れる景色を楽しめる。 |
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・運転中 自動運転とはいい、さすがに運転中は運転室には入れない。簡易的な(手摺一本だけですが…)間仕切りが用意される。 |
◆広告車両 |
開業早々この複雑怪奇な光景は… 初めは何かのイタズラかと目を疑いました。
よくよく見ると、明治乳業のアイスや冷凍食品のレプリカでした。 発見したのは開業して間もない2月5日。3000系の05編成に充てられていました。
むろん、広告は壁面だけでなくモニターでもCMされていました。 さすがにホームドアで隠れる外観には広告はありませんでしたが、「祝」のHMを付けて内装がこれでは異様さを感じました。
今までは車両全部が「ファイナルファンタジー」だったり「パナソニック」だったりは見たことがありましたが、どれも平面ポスターやシール。立体レプリカの広告は初めての経験でした。 個人的には結構面白かったので、続編が欲しいです(^^;
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いつもと違う何か飛び出る妙な車内 | ここまでされると必然的に欲しくなる… | 車内でのCMは九州初ですね |
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